原因究明の重要性
リウマチという病気を根本から改善し本来の元気、健康を取り戻すためには、まずその原因を見つけ出すことが大切です。種々の検査によって患者さまに共通して見られる症状を追究していくと、著しい栄養欠損・ホルモンバランスの乱れ・感染症・食物アレルギー・ビタミンD血中濃度の低下・酸化ストレスなど、症状を引き起こす様々な要因がみつかります。このような病気の「真の原因」が究明できれば、原因に即した治療を行いリウマチ症状の根本的な改善につなげることができるのです。
関節リウマチの7つの原因・症状
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人間の体内には生体恒常性(ホメオスターシス)という生命を維持するための様々な機能があり、常に体内の種々の条件が一定の範囲で安定するように働いています。ほとんど全ての病気は、このホメオスターシスが乱れることからはじまります。関節リウマチも例外ではありません。関節リウマチは自己免疫疾患であり遺伝素因とも密接に関係しているといわれますが、ホメオスターシスの乱れから生じる代謝異常がベースにあり、それが免疫機能の低下を招き発症すると考えられます。
栄養失調にともなう代謝異常
リウマチの患者さまは主にタン白質と鉄の代謝に異常をきたしており、鉄欠乏性貧血・低アルブミン血症などを発症します。ほとんど全ての患者さまに慢性炎症が見られますが、そのためにタン白質本来の生理機能が低下し、炎症を抑えたり関節の修復を行うことができなくなってしまうのです。さらに、患者さまの多くはやせ気味でタンパク・エネルギー失調症(Protein - Energy - Malnutrition PEM)の状態にあり、これが様々な自覚症状の原因にもなっています。
リウマチは「穴の開いたバケツ」といわれるほど栄養素を消耗する疾患です。リウマチを発症する方はもともと各種の栄養素が不足していることが多く、そのことが免疫力や治癒力の低下を招きます。リウマチを発症すると慢性炎症による栄養素の消耗はさらに激しくなり、加速度的に栄養失調と代謝異常が進行します。
ホルモンの分泌低下
アメリカの臨床医の報告や私個人の臨床経験においても、慢性疾患を抱える患者さまの多くに、同年齢の健康な人と比べてホルモンの分泌が低下している傾向が見られます。関節リウマチではほぼ全ての患者さまにその傾向があり、特にDHEAとテストステロンの値が低下しているケースが顕著です。また多くの場合、症状の悪化につれてホルモン分泌量も低下します。
ホルモンとは、体内の数種の内分泌腺から分泌される物質の総称です。ホルモンには老化を抑制する効果があり、分泌量が低下すると創傷や病気の治癒力が低下し、免疫系もうまく機能しなくなります。自律神経とともに全身のホメオスターシスの維持を行っているホルモンの異常は全身に大きな影響を及ぼすため、正常な生命活動にはホルモンが正常に分泌され機能していることが不可欠です。(具体的には副腎皮質ホルモン「コルチゾール」の分泌低下が、リウマチをはじめとする自己免疫疾患やアレルギーの原因となることがわかっています。)
ビタミンD欠乏
関節リウマチの患者さまには、成長や健康な体の維持に重要とされるビタミンDが不足しているケースが多く見られます。先進国においてビタミンD欠乏症は「新たなる文明病」として疫病のように蔓延しているといわれており、数多くの疾病との関連が指摘されています。
ビタミンD欠乏と関連または関連が疑われる疾患
関節リウマチ以外にビタミンD欠乏と関連があるといわれている疾患は下記の通りです。
易感染症・心血管系疾患・高血圧・糖尿病・骨粗鬆症・多発性硬化症・うつ病・精神疾患・てんかん・偏頭痛・脳卒中・多嚢胞性卵巣症候群・筋骨格系疼痛・自己免疫疾患・炎症性疾患・炎症性腸疾患・がん・線維筋痛症・自閉症・新生児の先天異常・歯周病・黄班変性症・悪性黒色腫・インフルエンザ・尋常性乾癬・痛風・耳硬化症・間質性ぼうこう炎・呼吸器低下・血栓症・慢性腎不全・ヘモクロマトーシス・胃腸疾患
上記の疾患と関連する情報
- ビタミンD欠乏は全ての疾患において死亡率を上昇させる。
- 血中ビタミンD濃度が34 ng/ml以下で心筋梗塞のリスクが倍増する。
- ビタミンDは細胞の増殖を抑制、細胞の分化・細胞の自然死(アポトーシス)を誘引する。結果として血管新生を抑制しガンの治癒を導きうる。
食物アレルギー
関節リウマチの患者さまには食物アレルギーをお持ちの方が多く、どちらが先行していたのか見極めることが難しいほど深い関連性があるといわれています。アメリカでは50年以上に渡って「食物アレルギーと関節炎の関係」についての調査・研究が行われており、食物アレルギーは難病治療の重要なポイントの一つです。私の経験でも関節リウマチの患者さまは穀物や乳製品のアレルギーを持っているケースが多いように感じます。
関節リウマチと食物アレルギーの関連性についての調査例
- 調査例1
22人のリウマチ性関節炎の患者さまにアレルギーの原因となる食物を取り除いた食事を実行したところ、91%の患者さまに症状の改善が見られました。また、86%の患者さまにおいてアレルギーの原因となる食物の多くは穀物や乳製品でした。 - 調査例2
70人のリウマチ性関節炎の患者さまを対象とした調査で、下記のような食物のアレルギーが関節炎を引き起こしやすいことが報告されました。
- とうもろこし 56%
- 小麦 54%
- 豚肉 39%
- オレンジ 39%
- 牛乳・オート麦 37%
- ライ麦 34%
- 卵・牛肉・コーヒー 32%
(出典 Overcoming Arthritis by David Brounstein,M.D)
調査に協力した患者さまに、アレルギーの原因となる食物を取り除いた食事を続けてもらった結果、1年半から5年で19%の患者さまに薬物治療の必要がなくなりました。
腸内環境の悪化
腸内における善玉菌の減少と悪玉菌の増加、また腸のバリア機能の低下により次のようなことが起こる可能性があります。
- 免疫細胞が刺激され、異常な免疫活動を引き起こす。(免疫細胞の多くは腸管に存在するため)
- 栄養素の吸収障害。
- 腸粘膜の障害により食物アレルギーを誘発。
以上から腸内環境の悪化がリウマチの発症に関係していることが考えられます。
免疫機能の低下・ウィルスおよび細菌感染
関節リウマチなどの自己免疫疾患と呼ばれる病には、細菌が関与しているケースが大変多いと考えられます。実際、そうした患者さまに抗生物質を投与することにより、症状が劇的に改善することも少なくありません。
また、上記で述べた1~5のような症状が感染症を引き起こしやすい状態を招くということもできます。その関係を流れで説明すると以下のようになります。
1. 上記1~5で述べた栄養失調による代謝異常・食物アレルギーなどが免疫力を低下させる。
2. 自然治癒力および細菌やウィルスなどに対する抵抗力が低下。
3. 細菌・ウィルスに感染する。
4. 過剰な免疫反応を誘発し、リウマチの症状を起こす原因となる。
細菌・ウィルスによる感染症と関節リウマチの関連性を示す研究結果
アメリカで行われた研究では、マイコプラズマ細菌などによる感染症によって、実験動物が人間と非常によく似た関節炎になることがわかりました。また、ミシガン州で統合医療を実践するブラウンスタイン博士の「擬態分子論」という考え方によると、感染症細菌にはヒトの構造によく似ているものがあるといいます。
免疫系は細菌や微生物に対して抗体を作って攻撃をします。しかし、細菌性微生物の構造はヒトの関節内部組織と非常に似通っているため、関節内部組織も一緒に攻撃してしまうのです。その結果、関節が破壊されたり炎症が起こったりします。
参考
感染症が原因になっている可能性のある病気
- リウマチ性関節炎
- 強皮症(硬皮症)
- 線維筋痛症
- 慢性疲労症候群
- 血管炎(脈管炎)
- ライター症候群
- 橋本病
- グレーブス病
- リウマチ性多発性筋痛
- 多発性筋炎
- 乾癬性関節炎
- 若年性関節リウマチ
- シェーグレン症候群
- 尋常性狼瘡
- 多発性硬化症
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 湾岸戦争症候群
出典 Overcoming Arthritis by David Brounstein,M.D
慢性炎症による活性酸素ダメージ(酸化ストレス)
関節リウマチでは種々の条件により過剰な免疫の反応(自己免疫反応)が誘発され、慢性的に炎症の状態となります。その炎症が活性酸素を発生させ、活性酸素ダメージを引き起こすのです。
自己免疫であろうと細菌感染であろうと、炎症が起こるということはそこで「火事」が起きているのと同じことです。火事が起こるとそこには「煙(けむり)」が発生します。よく火事の時に煙を吸って重体になられる方がいらっしゃいますが、そのくらい煙というのは危険なものなのです。活性酸素というのは、その「煙」にあたります。炎症が起きている時には必ず活性酸素が発生しているとお考えください。
活性酸素は、正常な組織や重要な機能(酵素反応や免疫活動など)を行っているタン白質を酸化変性させ、正常に働かないようにしてしまいます。例えば酸化したアルブミンはアルブミンとしての機能を果たせなくなり、その結果として薬剤や栄養素の効果の減弱や薬剤の副作用が強くあらわれるなどの問題が起こるのです。そればかりか酸化したタン白質は、それ自体が非自己とみなされ、次の自己免疫反応のターゲットとなりさらに炎症が進むという悪循環に陥ります。実際に関節リウマチの患者さまの検査データを見ると、非常に強い酸化ストレスにさらされている方がほとんどです。





